食事と運動を考慮する生活は中高年以降の健康に貢献する!

アメリカの研究に於いて数々のエビデンスを長年発信し続けている「フラミンガム研究」のデータによると、中年期以降に食事と運動の基本的ガイドラインを遂行している人では、人生後期に差し掛かってもメタボリックシンドローム(以下:メタボ)になる確率が有意的に低いことが分かった(2020.3.31「Journal of the American Heart Association」掲載)。

当研究の参加者2,379人(平均年齢47歳、男性45.6%:女性54.4%)を対象として、食事と運動に関するガイドラインの順守とメタボ有病率との関連を検討した。

食事ガイドラインは、2015年のアドヒアランスインデックス(Dietary Guidelines for Americans Adherence Index;DGAI)の中央値(62.1/100点)を上回るか否かで二分した。運動ガイドラインは、2018年の基準「週に中強度の運動を150分以上、または高強度の運動を75分以上」を満たしているか否かで二分した。

2008~2011年の参加者データを用いた横断的解析からメタボ発症に影響を及ぼす因子(年齢・性別・喫煙・摂取エネルギー量・心血管疾患の既往など)を調整しても、ガイドラインを順守している人にはメタボが少ないという関連が認められた。

 

例えば、食事ガイドラインを順守している人がメタボである確率は、順守していない人より33%低くオッズ比(OR)は0.67(95%信頼区間0.51~0.90)、運動ガイドラインを順守している人のオッズ比は0.49(同0.40~0.60)だった。

また食事と運動の両方を順守している人は、両方とも順守していない人に比べオッズ比は0.35(同0.26~0.47)であり、メタボである確率が65%低かった。

本研究では更に、研究参加者を平均8年間追跡してメタボの新規発症リスクを検討する縦断的解析も行っている。

その結果、食事ガイドラインを順守していた人のメタボ発症率は、順守していなかった人より32%低くハザード比(HR)は0.68(同0.51~0.90)、運動ガイドラインを順守していた人のHRは0.66(同0.50~0.88)だった。

また両方を順守していた人は、両方とも順守していなかった人に比べてHR 0.48(同0.32~0.70)であり、メタボを発症する確率が52%低かった(※オッズ比やハザード比とは、リスク比のことで1より大きいとリスク大となる)。

この研究の結果として「人生の早い段階で食事や運動の習慣を改めるほど、人生の後半で心血管疾患のリスクが低下する確率が高くなる」と総括。

その上で「ヘルスケアスタッフは指導対象者に向けて、健康的な食事と定期的な運動のメリットを、より強調して伝えるべきだ」と語っている。

但し、本研究は参加者が全員白人なので「他の人種・民族を含む追加研究が必要だ」と付け加えている。

https://www.carenet.com/news/general/hdn/52072 より)