フレイルとは、Frailty(フレイルティ)の訳で「虚弱」や「脆弱」を表し、2014年5月に日本老年医学会によって提唱されました。
フレイルは、高齢者の身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態を言いますが、早期に気付いて食事や運動など適切な対処をすることで再び元気を取り戻し、健康寿命を延ばすことが可能なのです。
誰でも加齢と共に少しずつ身体に不調が現れてきますが、多くの場合には「その不調は一時的なもので様子をみてからまたいつものように動けば良い」と甘く見てしまいがちになります。
それは若年期では何でもなく自然に改善できていたから安易に放っておくのですが、高齢に近づくと不調と戻りを繰り返して、いつしか不調に対する戻りが悪くなってきます、それを早く気付くか否かでその先のQOL(生活の質)が全く違ってきます。
私は過去に身体障がい者のリハビリを約7年間支援していましたが、生まれながら不自由な方々だけではなく、中には病の進行に気付かずに発症する脳血管障害(脳卒中)や事故などにより突然倒れて不自由な生活となっている方も多くいました。
そのような方々は現状に対してなかなか受け入れないために効果的なリハビリが進まない場合が多かったのです。
諦めずに身体を元に戻したいと願う気持ちは大切なのですが「辛いから少し楽になってから」とか「痛いから痛みがなくなってから」と言うように健常な時には時間が経てばいつも回復していたことを頭に浮かべるとなかなかリハビリが進められないのです。
そうしているうちにどんどん悪化して戻らなくなってしまいます、しかしそうではなく現状をしっかり受け入れた上でリハビリに取り組む方では不自由ながらも今の身体で如何に動くかを冷静に考えられるので第二の人生を着々と歩むことが出来るのです。
フレイルも身体の不調を放っておかず、早期に現状を受け入れて快方へと一歩踏み出すことが大切です、フレイルの場合には早期対策によって不自由な生活から逃れられるのです。
フレイルでは身体面だけではなく、精神面や社会的側面も含まれるので、2001年に発表されたフレイルの基準①~⑤の5項目に⑥~⑦の2項目を追加して判断すべきだと考えます。
この7項目中、4項目以上に該当するとフレイル、2~3項目だけ該当する場合にはプレフレイル(フレイルの前段階)と判断します。
下記参照
評価項目 評価基準
①体重減少 6ヶ月以内で2~3kgの減少(主に筋肉減少)
②倦怠感 理由なく疲れた感覚がある
③活動量 週に1度も運動や活発な動きがない
④握力(筋力) 男性26kg未満、女性18kg未満(利き手による)
⑤歩行速度 5m歩行で1m/秒未満
⑥社交性 月に1回も他人との交流がない
⑦精神状態 いつも不安感や心配及びイライラやストレスがある